農水省は2021年1月7日、牛豚等疾病小委員会を開き、民間獣医師も豚熱ワクチンの飼豚への接種が可能になることなどを含めた「特定家畜伝染病防疫指針」の一部変更案を提示した。現状では公務員の獣医師である都道府県の「家畜防疫員」しかできないため、民間獣医師でも接種できるようになれば適期接種のための人手不足解消が期待される。
現在は民間の獣医師が家畜防疫員になるには公務員として任命される必要があった。ただ、所属によっては兼業禁止や勤務先への休暇申請が求められる場合や、確定申告が複雑になるなどの理由で、任命が進まない現状があったという。
子豚へのワクチン接種は、昨年8月末に開かれた同小委で日齢50~60日が望ましいとされた。達成するには接種頻度を従来の月1回程度から3回程度できる体制を整える必要があり、人手不足が課題となっていた。
変更案では、家畜防疫員が接種する現在の体制を原則としつつ、知事が認定した民間獣医師(知事認定獣医師)による接種ができるようにする。ただし、定期的に農場を巡回でき、家畜防疫員と同等以上にワクチン接種できるなどの要件を満たした場合に限る。ワクチン接種プログラムによる初回接種は除く。
知事認定獣医師は、接種実施状況を毎月家畜保健衛生所に報告する。都道府県は知事認定獣医師のワクチン数量の管理、記録を担う。使ったワクチン数量を把握するため、都道府県は知事認定獣医師から使用済みワクチンの瓶を全回収する。畜主に請求された場合、接種の証明書を交付することなどを明記した。千葉県は昨年12月24日にいすみ市で確認された鳥インフルエンザ殺処分(116万羽)が新年に入り漸く終わりに近づいた矢先の1月11日県内2例目が同いすみ市で確認され114万5千羽の殺処分に入っている。各家畜保健衛生所職員の対応は、ほぼ鳥インフル対応に追われているといって過言ではない。
豚熱のワクチンは、家畜防疫員(家保職員)が主体で接種を行なっていることから、接種体制に問題が生じる事が一番心配されることから、国が検討している民間獣医師への接種対応を強く求めたいと、1月13日(水)岩岡会長と事務局で井出課長に面会し要望しました。
千葉県は、厳しい状況ではあるが、豚熱ワクチン接種は一部農業共済の協力を得て、体制を崩さず接種が行なわれていることの確認を得た。
現状を踏まえ、一日も早い民間獣医師への接種対応を中央組織であるJPPAに要望し、再度国への要請を下記により行いました。また会わせて出荷の際の生産者の声も要望として付記いたしました。
NPCからJPPAへの要望
豚熱ワクチン接種に係る要望書 新形コロナ感染拡大から2度目の緊急事態宣言が発出され、大変厳しい年明けとなりました。 日頃、養豚生産者が求める要望に対し、国への積極的な要請に対し厚く御礼を申し上げます。 さて、昨年12月24日に千葉県いすみ市で鳥インフルエンザ確認され116万羽の殺処分が新年に 入り漸く終わりに近づいた矢先の1月11日2例目が同地区で確認され、再び114万5千羽の殺処分 に入っています。 千葉県では、豚熱ワクチン接種推奨地域として昨年2月から接種計画に基づき接種が行われており 各地域の家畜保健衛生所の獣医師が家畜防疫員が接種を実施しています。今回大規模農場に おける鳥インフルエンザ感染確認から殺処分、周辺の防疫対策等から家畜保健所の労力の大半が これらの対応に割かれています。現状目いっぱいの中でなんとかワクチン接種は実施されてはいる ものの、何らかの事態が生じて接種する防疫員の手が回らず、最悪計画通りのワクチン接種対応を 心配する声が生産者から出されています。 このような状況から、農水省が牛豚等疾病小委員会で検討している「特定家畜伝染病予防指針」の 一部変更について、何らかの事態が生じる前に、人手不足解消による安定したワクチン接種を推進 できるよう下記内容を早急に決定願えるよう要望いたします。また、豚熱ワクチン接種豚の出荷時の 表示義務について併せて要望いたします。 記 1. 豚熱ワクチンは、現状公務員の獣医師である都道府県の「家畜防疫員」しか接種できない。 民間獣医師でも接種できるよう早急に求める。
2. ワクチン接種豚については、表示として「出荷に際には、背部にマークを記入し、接種豚で あることが明確に判別できるようにする」との家伝法7条に基づき定められている。 ワクチン接種推奨地域の拡大により、と畜場においてはワクチン接種地域以外から出荷されると畜の ないケースも見られることから、表示の有無についての検討をお願いしたい。
令和3年 1月18日 一般社団法人 日本養豚協会 会長 香川 雅彦 様 ナイスポークチバ推進協議会 会長 岩岡 喜久男 ㊞
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JPPAから農水省への要請
農林水産省 消費・安全局 局長 新井 ゆたか 様
豚熱ワクチン接種に関する要望書 日頃より、家畜防疫の推進にご尽力を賜り誠にありがとうございます さて、新型コロナウイルス感染症の拡大は止まらず、2度目の緊急事態宣言が発出され大変 厳しい年明けとなりました。畜産分野では、昨年末にワ クチン接種推奨地域での豚熱の発生 が連続し、また、鳥インフルエンザの発 生が全国に拡大するなど、厳しい状況が続いています。 このため、農林水産省では、牛豚等疾病小委員会等での議論を受け、豚熱ワクチン接種に 民間獣医師を活用し、ワクチン接種を適切かつ円滑に推進すべく「豚熱に関する特定家畜伝染 病予防指針」の改正を行うこととされています。 このような状況の中、千葉県では、鳥インフルエンザが大規模経営において続発し、県職員 獣医師は当該養鶏場でのと殺業務に忙殺され、豚熱ワクチンの適切かつ計画的な接種に支障 をきたしており、今般同県のナイスポークチバ推進協議会より別添の通り民間獣医師による 豚熱ワクチン接種の早期実施を要請しております。 同様の事態は、他の鳥インフルエンザ発生県でも起こっていることから、当協会として民間獣医師 による豚熱ワクチン接種の開始を前倒して実施できるよう、以下の要請をいたします。
1. 豚熱ワクチンの接種について、鳥インフルエンザの発生等の事情により、県職員獣医師 である家畜防疫員による接種に支障をきたす恐れのある都府県においては、現行の「豚熱に 関する 接種に支障をきたす恐れがある都 府県においては、現行の「豚熱に関する 県においては、現行の「豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針」の特例として、民間獣医師 による豚熱ワクチン接種を前倒しで認めること。 2021年 1 月 一般社団法人 日本養豚協会(JPPA) 会 長 香川 雅彦 ㊞
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