美味しい豚肉を笑顔の食卓へ千葉県の養豚生産者が結集しました。ナイスポークチバのホームページです。


平成27年度通常総会開催・・・記念講演は食肉の安全性・・・?

平成27年6月4日(木)千葉市内オオクラ千葉ホテルにおいて平成27年度通常総会が会員(生産者・賛助)及び関係者150名に参加により盛会に開催されました。

予定された全議案が承認され、本年役員改選年に当たり4期8年務めた平野 拓歩会長にかわり会長代理として会長を補佐してきた塩澤英一氏が新会長に選出されました。

今回記念講演として、「食肉加工現地ルポ・米国産豚肉の正体」と題し、ジャーナリスト 青沼陽一郎氏により講演された。

 TPP交渉の決着が近いこの時期、今回文藝春秋に連載された内容でお話を頂いた。

特に食肉の安全性に関する内容紹介したい。

028_small.JPG

 

食肉工場現地ルポ(2015.6月号 文藝春秋)

 EUには輸出できない「日本向け米国牛」

米国からの牛肉輸入は、既に1991年に自由化されている。そしていまTPP交渉においては、豚肉と共に重要5項目とされ、関税撤廃の例外を求めている農産品でもある。また米国産牛肉は、日本の畜産 では使用が認められていない成長促進ホルモン剤が使われていて、国産と輸入品とでダブルスタンダードになっている。食の安全の観点から消費者の関心も高い。

 


〇「馬に乗ったカウボーイたち」

経営者がカウボーイと言った専属スタッフ。広い肥育場「ペン」をまわり、目視で毎日の牛の健康状態を確かめる。「体調が悪かったり、病気の牛がいれば別の場所で治療する」

 そこで気になるのが、やはり牛への投薬である。

日本では使用が認められていない成長促進ホルモン剤が、米国では一般的に使われている

そこで、この肥育場ではホルモン剤を使っているか訊いてみた。「ああ、使っているよ」・・・にべもなく答えた。それが当たり前であるように、なんの後ろめたさも感じさせない。ホルモン剤だ、といって実物を見せてくれた。

持ち出してきたのは、ピストル型の注入器で、穴の空いた大きな針がついている。そこにカートリッジを取り付け、2回引き金を引く。針の穴から、鉛筆の芯が数ミリで裁断されたような細かい白色の物体が四つほど出てきた。「これがホルモン剤の1回分。ここに牛が連れて来られた時に、耳に1回打って終わり」では、ここで育った牛は日本へも出荷されているのだろうか。

 

「月齢20カ月の証明書を必要として牛がいた」彼はそう答えた。米国ではBSEが発生してから、日本はまず禁輸、次いで輸入制限措置をとり、生後20カ月以下の牛であるのなら輸入を認めていた。つまり、月齢証明は、それが日本向けの出荷であることを示唆していた。その米国産牛肉の輸入月齢制限措置も2013年2月には解禁となっている。これによって月齢30ヵ月までの輸出が可能となった米国の牛肉業界は活況を見せていた。「制限30ヵ月になってからは、輸出トン数が増え、シェアも確実に増えている」と担当者は言った。

 

加工場の至るところにUSDAの職員が配置され、品質のチェックから衛生管理まで監視している。担当者に尋ねた。ここで加工される高級食肉には、成長促進ホルモン剤が使われているのですかと。すると、少し目の色を変えこう答えた。

 

「この工場には、3つのプログラムがあります。一つはEUプログラム。EUはホルモン剤や抗生剤を使った肉を入れないことが条件になっていますので、まず使用しない肉。それと国内向けオールナチュラルプログラム。これもホルモン剤や抗生剤は使いません。

そしてもう一つが、一般向けアンガス。これはホルモンも抗生剤も使用しています。

 

日本では輸入牛肉に使用されている成長ホルモン剤について、受け入れを認めているが、EUではホルモン剤を使用した食肉製品の輸入を一切認めていない。無論EU圏内でも使用は認めていない。

 

これとまったく同じ措置をとっている飼料添加物がある。

昨年11月、首都ワシントンDCで米国食肉輸出連合会の総会が3日間にわたり開かれていた。

その最終日に全体のビジネスセッションとしてパネルディスカッションが行われていた。

まず司会進行役のこんな発言からはじまった。

「いま、世界の秩序が崩壊しつつある・・・・・つまり台頭する中国の脅威が真っ先に取り上げられたのだ。中国はこれまで世界の標準を守る国ではなかった。開放政策をとっていく中でも、世界に顔を出す国ではなかった。ところが、ここに来て、アジアインフラ投資銀行、新しいシルクロードを建設して、欧州との経済的な結びつきを強めるなど、世界のルールを変える、あるいは策定する力を持つようになってきた(農務省局長次官補代行)」

そこから。食の安全のグローバル化、標準化の難しさについて話しが向けられた時だった。

それは『ラクトパミン』※(塩酸ラクトパミン)のことを言っているのですか。

 

興奮剤成長促進剤としての作用があり、主に赤肉を多くさせる目的で、米国では豚の肥育の最終段階(出荷前45~90日)で使用されている。

この安全性については、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が共同で組織した、食品の国際規格を設定するコーデックス委員会は2012年7月5日に動物組織に使用する場合の最大残留基準値を設定した。つまり、豚肉や牛肉における安全性とされる残留基準値だ。

これは米国の提案による参加国の票決による決定だったが、その内訳は賛成69票、反対67票と僅差だった。これに反発しているのがEUだった。

その翌日、EUは早速声明を発表し、「データーが十分でなくヒトの健康への影響が除外できない」として、使用の受け入れを断固拒否している。

 

 

〇中国で相次いだ中国事件

これとまったく同じ立場をとるのが中国だった。もともと中国では、豚肉の脂身を減らし赤身肉を増やす「痩肉精」(痩肉)は中国では赤身肉)と呼ばれる添加物が使われていた。当初は喘息の治療にも使われる塩酸クレンプテロールが主流だったが、人体に入ると吐き気、目眩、無気力、手が震えるなどの中毒症状が現われ、毒性の高いことからレクトパミンがいっしょに利用されるようになった。実は中国では、1998年代後半からこの「痩肉精」による中毒事件が相次いでいる。

もっとも、これよりも早い時期に中毒が問題になったのは欧州だった。1990年にスペイン、次いでフランス、イタリアでも同じ中毒事件が起きている。その頃から、EUでは警鐘が鳴らされていた。中国国内ではその後もラクトパミンのコピー品、模造品が出回る。国内の食品安全の維持から徹底した規制が必要とされた。

米国からすれば「中国はEUのやり方を真似ている。EUの規制に中国が傾いている」。

EUと中国が歩調を揃えて防疫を理由に米国の貿易を阻害して映るのだ。

 

〇食の安全にふたつの基準

日本の場合、厚生労働省が食品安全委員に諮問し、2004年に米国食品医薬品局(FDA)の示している ラクトパミンの残留基準値は妥当であると評価した。さらにコーデックス委員会の決定を受けて、食品安全委員会と厚労省は再度の科学評価を行い、コーデックスの基準値を妥当だと確認している。ところが国内での使用となると認可が下りていないのが実情だ。

 

つまり成長促進ホルモン剤と同様に、輸入品と国内産で食の安全にふたつの基準があることになる。全米で豚肉生産のシェア―25%以上の第1位を誇る、世界最大の豚肉生産加工会社「スミスフィルド・フーズ」を中国食肉大手企業「万洲国際」が約47億ドルで買収したのだ。 

中国は世界最大の豚肉消費国だ。万洲国際は輸出の拡大を強調している。

だが、中国ではラクトパミンの問題を抱えている。2013年には中国、ロシアが輸入豚肉のラクトパミンの規制監督を強化。スミスフィルドの第4四半期決算が落ち込む事態に発展している。「スミスフィルドから中国への本格的な豚肉輸出はありませんが、今年からはじまるでしょう(日本の養豚関係者)との声もあるが、仮にラクトパミン問題で規制を受けても中国企業は困ることはない。

 

TPP交渉が妥結となれば、米国産豚肉がこれまで以上に日本に入ってくる可能性が高いからだ。

現状においても米国の豚肉輸出の最大の得意先は日本である。結局、米国側が積極的に推し進める交渉は、中国の利益につながるようなものなのだ。


 

 

〇TPPに隠された食肉のカラクリ

豚肉が中国ならば、牛肉の世界最大の消費国は米国である。その米国はこれまで見てきたとおり、商品価値を付けたものを高い価格で世界に売り出す。日本はそのお得意と言っても過言ではない。

その米国の競合相手となっているのがオーストラリア(豪州)だ。

 

ところが米国は昨年、豪州から39万7900㌧の牛肉を輸入している。それまで、豪州にとって最大の牛肉輸出国であった日本の29万3800㌧を抜いて第1位の牛肉取引国となっている。

「豪州やニュージーランドから輸入される冷凍牛肉は、アメリカ国内でハンバーガー用などの加工品仕向け、カナダ、メキシコから冷蔵の輸入牛肉、特にメキシコ産は価格訴求型のレストランチェーンなどに仕向けられています」(米国食肉関係者)

つまり商品価値の高いものを海外に売って、安いものを自国で消費する。徹底した利潤追求型の商売至上の実態が見てとれる。

 

しかも、「豪州では、ほとんどホルモン剤を使っていません。コストを極力抑える自然農法が主流で、薬剤のコストも嫌います」(畜産関係者)

 

TPPによって、高い牛肉はさらに日本へ、安くてホルモン剤未使用の牛肉は豪州から米国へ、より流れやすくなる。そうした食料産業構造の中に日本は取り込まれていくことになる

TPPが現実のものになった時、日本の食肉産業の現場はどのような事態に追い込まれていくのか?

 



ナイスポークチバ推進協議会
〒260-0021
千葉県千葉市
千葉市中央区新宿1-2-3
K&T千葉ビル3階
電話 :043(241)3851
FAX :043(238)1255